グリセリンの不思議
コールドプロセス製法で作られた石けんの特徴は、グリセリンがたくさん含まれていることです。
市販されている石けんの多くは石けんを作る過程で塩基という作業により一旦グリセリンを全部取り去って、
その後、適量を追加するという方法をとっています。
しかしコールドプロセスで作られた石けんは塩基しないためにグリセリンがそのまま残っています。
グリセリンは潤い成分とも云われており、石けんで洗顔して皮脂や汚れを落とした後も、
肌がしっとりするのはこのグリセリンのおかげといっても過言ではないかと思います。
では、このグリセリンとはいったい何なんでしょうか。
グリセリンは、高等植物や海草、動物などに広く含まれ、 私たち人間も、皮下や筋肉などに「脂質」という形で蓄えられているそうです。 1779年にスウェーデン人のカール・ウィルヘルム・シェーレがオリーブ油加水分解物の中から発見し、 ギリシャ語のglykys、(甘い)にちなんで名づけられました。 その名の通り、グリセリンは無色透明のシロップ状の液体で、匂いがなく、甘みがあります。 当初は、膠(にかわ)やコルクの製造に使われていましたが、 その用途は次第に織物やインクの染色助剤に拡がっていきました。
恐怖のグリセリン
その後、イタリアの化学者Ascanio Sobrero氏が150年前に
グリセリンと硝酸および硫酸の混合物を反応させて三硝酸グリセリン、
つまりニトログリセリンを発明して、
無害なグリセリンから驚異的な爆発力を持つ危険物が作り出されました。
発明者自身、実験中の爆発から火傷だらけで、あまりに危険すぎて使い物にならず、
多くの人命を奪ったニトログリセリンを作り出してしまったことを後悔していたと言われています。
1867年に、この危険物を珪藻土に染み込ませて安定させ、扱いの容易なダイナマイトとして
普及させたのがアルフレッド・ノーベル氏です。実験中の爆発でノーベルの弟が死亡するということもありましたが、
このダイナマイトの発明のおかげでノーベルは大金持ちになりました。
医薬品としてのグリセリン
ニトログリセリンやダイナマイトなどのような強力な爆発物になるグリセリン、
毒性はほとんど無く、扱いによっては人を救う医薬品にもなっているそうです。
「慢性狭心症などの痛みを和らげる」や「インポ対策」です。
いやいや、目が点になりました。爆弾が薬としても使われているなんて・・
使用するのは極々微量で狭心症で狭まった心臓の冠状動脈を広げて痛みを和らげるそうです。
しかしひどい頭痛とか急激な血圧の低下とか、副作用も大きいそうです。
一方「インポ対策」の効果的な塗り薬としては、ニトログリセリンの血管拡張作用を利用した「RESTORE」という薬が1998年に販売されました。
この爆薬を1%含んだ薬を塗れば「数分の内に効き目があらわれ、45分間持続する。副作用もなし」だそうです。
「インポ対策」として有名なものにバイアグラというものがありますが、欲張って2つを併用すると命取りになるそうです。
実際に1998年に日本国内でも両方を併用して死亡事件が起きたことがあります。
その他の医薬品としては利尿薬、脳圧降下薬、浣腸液として利用されているそうです。
グリセリンの特徴
グリセリン(Glycerine, Glycerin)は、組成式C3H5(OH)3、
分子量92.09の3価のアルコール。別名は、プロパン-1,2,3-トリオール、
グリセロール。融点18.18 ℃、沸点290 ℃。
と『ウィキペディア(Wikipedia)』にありますが、科学は難しいので解りやすく言うと、
- グリセリンとは
- アルコールの一種で、食品業界では防腐剤として使われている
- 無色透明の液体
- 甘みがあるので、糖分を含まない甘味料としても使われている
- 吸湿性が強いので化粧品などの保湿剤として利用されている
- グリセリンは無害で生物分解も早いので、堆肥に加えて畑の腐植土作りに活用できる。
- 可燃性であることから、取り扱いや保管には注意する必要がある
- グリセリンの液性は中性である
グリセリンの種類
グリセリンには植物原料、牛脂原料、合成(石油系)の3種類があります。
狂牛病騒動以来、牛脂系は激減し、現在は植物性か合成系の2種類に大別されます。
植物原料にはヤシ油、パーム油などがあり、やしの実から油脂を加水分解して
得られる水溶液(甘水)を精製、濃縮して、粗製グリセリンを製造、
さらに蒸留、精製して製品化する方法で生産されています。
また、グリセリンの濃度によって薬局で販売されている局方グリセリンと化粧グレードの濃グリセリンとに分かれます。
局方グリセリンの濃度の規格は84%〜87%で、化粧グレードの濃度は98%以上です。
したがってとろみ具合で区別がつきます。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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